Square-1 (主に中級者向け)

 

1.はじめに

 Square-1のタイムが15~25s前後で伸び悩んでる人を主な対象に、自分がsub20程度から11~12s程度になるまでにやったことなどを解説します。これを真似して上達するかどうかは個人差があると思うので、一つの例と思ってください。

2.基本的事項

 まずは基本的な回し方です。主なポイントは2点:

①R2,R2'のリズムでまわす。(交互に)

②左手のスナップを利かせる。

①に関しては特に言うことはありませんし、やっている人も多いと思います。

②について、自然に回すと左手も動くと思うのですが意外と硬い人が多い印象です。イメージとしては、スクエアの中心に対して右手だけで180°回すのではなく、左手も補助的に~90°手前に回す感じです。CPでのJ-Jとかだとやりやすいと思いますが、成形でも使える方が望ましいです。

3.成形

 僕の成形におけるやり方の方針としては、

~3手:暗記(指で覚える)

4手:3手成形に持ち込める切断面を把握できるようにする

5手、6手:3手成形に持ち込めるものの内、できる限り回しやすいものを選択する

7手:暗記(kite-squareのみ)

です。特に重要なのは5,6手の成形です。原則としてoptimalの手数を増やさずに、自分にとって回しやすい手順を選択することが求められます。また3手以内の成形は(6,6)した状態でも回せた方が望ましいです。

 適当に成形を行っていると、本来5手のものを6手かかっていたりする場合もあります。この成形が回しずらいだとか、長いだとかと感じたときは一度見直してみると良いでしょう。

4.CO

 僕もCOに関しては一時期適当にやっていたのですが、安定したタイムを出すために完全にパターン化することにしました。COskip以外の場合は、CO終了時点でU面色が上にもってきた方がいいです。

5.EO

 手順はBrandon Linが公開しているものをお勧めします。また、L-LのようなEOは回しやすいので2通り覚えていると良いでしょう。僕が使用しているものは、

・1,0/3,0/-1,-1/-3,0/   (UF-UL~DF-DR)

・1,0/-3,0/-1,-1/4,-1/ (UB-UL~DB-DR)

の2つです。

6.CP

 手順は一般的なもので良いですが、ペア保存がかなり重要になってきます。15s~では、基本的にペアができていたらとりあえず保存するで良いと思います。僕は判断時間を減らすために、EO実行中にD面のコーナー色を確認しています。

 また応用的なテクニックとして、例えばU面がWと分かっていてD面のペアがCP保存によってIかLか変わるときに、回しやすいLが出るように保存する、というものがあります。おそらく安定して8s台を出すなら必須のテクニックだとは思いますが、最初の内は困ったらLを残すようにしておけば大体何とかなります。

 さらに進んだテクニックとして、A,G,YなどをEP2回で処理したり、CP後にI-Lが来るものに対し先にLLを行ってからCPをするEPCPなどもあります。これらはパリティが来ない前提でないと判断時間のロスが大きいため、基本的にCSPを使えない限り実用的とは言えないでしょう。

 またPBLというCPとEPを同時に行う手順もありますが、NPだけでも1000弱程度の手順が必要となり、これも全て覚えて使いこなすのは現実的ではありません。しかし、中には判断しやすく汎用性が高いものもあるので、そのうちのいくつかを紹介したいと思います。

pJ-pJ: 1,0/-3,0/2,2/1,-2/

pN-pN: 1,0/-4,2/4,-2/

V-F: 1,0/2,-1/-2,1/2,-1/-2,1/

僕もこれらの手順を実際のソルブで使えたのは数えるほどしかないですが、短いので覚えておけばいつか使えるかもしれません。

7.EP

 僕はあまりEP手順を覚えている訳ではないので偉そうなことは言えませんが、今の時点でちゃんと回せるEPは

Parityなし:L-L(2つ), I-I(2つ), 上Ua(b), W-L, L-W, W-I, I-W, EasyUU, Z, 

                    H, Z-Z, O-I(2種類), I-L, L-I

Parityあり:上L、上I, Ua(b)-L, Ua(b)-I, L-Ua(b)

ぐらいです。パリティ手順は結構忘れていますが、最低限これだけあれば多分どうにかなります。キャンセル時のコツとして、D面で調整しキャンセルもできた方が良いです。

例として、中断反転ありで表L-L(1,0/0,3/-1,-1/1,-2/)を回すことを考えます。普通に中断キャンセルする場合、

 1,0/0,3/-1,-1/-5,-2/6,0/

で良いのですが、同じ中断キャンセルとして

 1,0/0,3/-1,-1/1,4/0,6/

でも可能な訳です。このときEP終了後の差異として、上と下が(6,6)の関係になっていることが分かります。また手順が変わるのは後半であるため、EPを回し始めてから判断することができます。つまりL-Lを回し始めると同時に、EP終了後にどちらの状態がいいかを確認することで、煩わしいAUDFの負担を減少させられる、ということです。

スクエアは比較的+2しやすい競技なので、効果的にキャンセル手順を選択することは見かけ以上に重要です。

 

8.おわりに

 ここまで読んでいただきありがとうございました。現状まだまだスクエアのテクニック等に関する記事は少ないため、短いですがこのような形で書かせていただきました。何か一つでも参考になった箇所があれば幸いです。

 

CSP 簡易解説

 

 (方法だけ知りたい方は3.から読んでください)

1.はじめに

 この記事では、square-1の重要なテクニックの一つである「CSP」の簡単な解説をしたいと思います。現状CSPの技術は日本語での解説記事が存在せず、名前だけ知っているが、実際はどういうことをしているのか知らない人も多いと思います。実際この技術を使いこなすのはかなり難易度が高く、現在日本でも実用的に使えているのは数名程度であるというのが事実です。かくいう僕もまだ全てのCSPが使えているわけではないのですが、名前だけが先走りして内容が広まっていない現状を鑑み、この記事の作成に至りました。ある程度スクエアの基本知識があることを前提としているので、その部分はご理解ください。また、BLDの分析についての知識があると分かりやすいと思います。

2.概要

 CSPとはCube-Shape-Parityの略で、簡単に言えば成形方法を2種類使い分けることで常にパリティが発生しないようにするテクニックです。こういってしまえば簡単なのですが、普段の成形では意識しない左右対称形(例:fistの右と左)がCSPにおいては違う成形として考えることになるので、全90パターン*2の成形方法を覚えることになります。またそれだけでなく、CSPの分析は当然インスペクションの15秒以内に行わなければならないのですが、各成形の形ごとに色の基準位置も覚えておく必要があるため、時間以内に分析を終わらせるためには相当な練習が必要になります。主にこの2点がCSPを導入する上で大きな難関になる点なのですが、その分メリットもあります。パリティが出なくなるのはもちろんのことながら、EP判断の時間を削ることが出来ます。パリティがあるかわからない場面ではEPの判断に最低でも上下の3面の計6面を見る必要がありますが、パリティがないことが確定していると判断に必要な面が5面になります。また、EPCP(EPを済ませてからCPを行う)やPBL(CPとEPを同時に行う)といったテクニックは基本的にパリティがないことを前提としたテクニックのため、実質的にCSPを導入することで実用的になるテクニックといえます(CSP未使用では、パリティの有無の判断が必要なため判断に時間がかかりすぎてしまう)。

 CSPを導入するタイミングですが、個人的な意見として、非公式ao100でsub12~13程度のタイム帯になってからで十分だと思っています。理由としては、それ以前のタイム帯ではそもそも判断に無駄が多かったり、成形やEP処理が非効率的であったりして、パリティをなくすことによる恩恵が薄いからです。パリティの有無は精々+1~2秒程度なので、それ以外に改善の余地がある場合はそちらを改善する方がタイムを伸ばすうえで効果的だと考えています。

 

3.方法

 いよいよ本題の方法について解説します。CSPの例として下の画像を見てください。

 

 f:id:shellsquare:20180911192739j:plain

 まずこの表の見方について説明します。一番左はReferenceとよばれるもので、この色の配置が基準色となります(詳しくはあとで説明)。左がU面で、右が上から透かしたD面になっています。一番右は左の図の状態にするための回転記号で、黄上橙前でスクランブルすると右図の状態になります。重要なのが真ん中の2つで、左が偶数、右が奇数のときの手順になります。じゃあこの偶奇をどう判定するのかというと、スクランブルの状態の色の配置をこのReferenceの配置になるようにたどり、その文字数を数えます。要は、BLDと同じように分析して、その文字ではなく数字の偶奇だけを記憶するということです。ためしにこの成形のパターンで分析してみましょう。

 f:id:shellsquare:20180911200348j:plain

 まずコーナーの分析をしてみます。U面の白緑赤から始めるとすると、

  白緑赤→黄青橙→白赤青→黄緑赤→白青橙→白橙緑→黄赤青→黄橙緑

で1ループになっており、コーナーの分析はこれで終了になります。数を数える際にはこの矢印の数を数えればよく、今の場合は"7"です。これは理論的には偶数個のパーツのループは奇置換、奇数個なら偶置換であることを反映していますが、 1つ起点を決めてその次のパーツから1,2と数えていくと理解していれば十分だと思います。

 次にエッジですが、同様にすると

  黄赤→黄橙→白赤→黄緑→白緑→黄青

  白青→白橙

 でループになっており、文字数は"6"です。最終的にこの2つの数字を足し偶奇の判定をします。今の場合は"13"なので、奇数の成形手順を使えばいいということになります。

 

補足:基準色について

 この表では基準色が決まったもののように与えられていますが、実は基準色は自分の好きなように変更してもらっても問題はありません。一つ注意としては、変更後の基準色が元のReferenceに対して奇置換である場合、偶数手順と奇数手順が入れ替わってしまいややこしくなるため、強いこだわりがない限り偶置換の基準色を使うことをお勧めします。

 

4.CSPの表

Cube Shape Parity (CSP) - Google スプレッドシート

 基本的にはこの表に載っているものを使っていますが、一部違う向きからやったり、やりやすいよう手順を変えているものもあります。ある程度CSPの概念に慣れてくると、どうやってパリティを操作しているか何となく分かってくるので、自分用に手順を変更してもらえればと思います。  

 

5.おわりに 

 簡易ながらCSPについての解説をしました。わからない所などあれば、twitterまで。

また、Cale式なる別のCSPの方法もあるそうですが、そちらについては詳しくないので解説は省略しています。