CSP 簡易解説

 

 (方法だけ知りたい方は3.から読んでください)

1.はじめに

 この記事では、square-1の重要なテクニックの一つである「CSP」の簡単な解説をしたいと思います。現状CSPの技術は日本語での解説記事が存在せず、名前だけ知っているが、実際はどういうことをしているのか知らない人も多いと思います。実際この技術を使いこなすのはかなり難易度が高く、現在日本でも実用的に使えているのは数名程度であるというのが事実です。かくいう僕もまだ全てのCSPが使えているわけではないのですが、名前だけが先走りして内容が広まっていない現状を鑑み、この記事の作成に至りました。ある程度スクエアの基本知識があることを前提としているので、その部分はご理解ください。また、BLDの分析についての知識があると分かりやすいと思います。

2.概要

 CSPとはCube-Shape-Parityの略で、簡単に言えば成形方法を2種類使い分けることで常にパリティが発生しないようにするテクニックです。こういってしまえば簡単なのですが、普段の成形では意識しない左右対称形(例:fistの右と左)がCSPにおいては違う成形として考えることになるので、全90パターン*2の成形方法を覚えることになります。またそれだけでなく、CSPの分析は当然インスペクションの15秒以内に行わなければならないのですが、各成形の形ごとに色の基準位置も覚えておく必要があるため、時間以内に分析を終わらせるためには相当な練習が必要になります。主にこの2点がCSPを導入する上で大きな難関になる点なのですが、その分メリットもあります。パリティが出なくなるのはもちろんのことながら、EP判断の時間を削ることが出来ます。パリティがあるかわからない場面ではEPの判断に最低でも上下の3面の計6面を見る必要がありますが、パリティがないことが確定していると判断に必要な面が5面になります。また、EPCP(EPを済ませてからCPを行う)やPBL(CPとEPを同時に行う)といったテクニックは基本的にパリティがないことを前提としたテクニックのため、実質的にCSPを導入することで実用的になるテクニックといえます(CSP未使用では、パリティの有無の判断が必要なため判断に時間がかかりすぎてしまう)。

 CSPを導入するタイミングですが、個人的な意見として、非公式ao100でsub12~13程度のタイム帯になってからで十分だと思っています。理由としては、それ以前のタイム帯ではそもそも判断に無駄が多かったり、成形やEP処理が非効率的であったりして、パリティをなくすことによる恩恵が薄いからです。パリティの有無は精々+1~2秒程度なので、それ以外に改善の余地がある場合はそちらを改善する方がタイムを伸ばすうえで効果的だと考えています。

 

3.方法

 いよいよ本題の方法について解説します。CSPの例として下の画像を見てください。

 

 f:id:shellsquare:20180911192739j:plain

 まずこの表の見方について説明します。一番左はReferenceとよばれるもので、この色の配置が基準色となります(詳しくはあとで説明)。左がU面で、右が上から透かしたD面になっています。一番右は左の図の状態にするための回転記号で、黄上橙前でスクランブルすると右図の状態になります。重要なのが真ん中の2つで、左が偶数、右が奇数のときの手順になります。じゃあこの偶奇をどう判定するのかというと、スクランブルの状態の色の配置をこのReferenceの配置になるようにたどり、その文字数を数えます。要は、BLDと同じように分析して、その文字ではなく数字の偶奇だけを記憶するということです。ためしにこの成形のパターンで分析してみましょう。

 f:id:shellsquare:20180911200348j:plain

 まずコーナーの分析をしてみます。U面の白緑赤から始めるとすると、

  白緑赤→黄青橙→白赤青→黄緑赤→白青橙→白橙緑→黄赤青→黄橙緑

で1ループになっており、コーナーの分析はこれで終了になります。数を数える際にはこの矢印の数を数えればよく、今の場合は"7"です。これは理論的には偶数個のパーツのループは奇置換、奇数個なら偶置換であることを反映していますが、 1つ起点を決めてその次のパーツから1,2と数えていくと理解していれば十分だと思います。

 次にエッジですが、同様にすると

  黄赤→黄橙→白赤→黄緑→白緑→黄青

  白青→白橙

 でループになっており、文字数は"6"です。最終的にこの2つの数字を足し偶奇の判定をします。今の場合は"13"なので、奇数の成形手順を使えばいいということになります。

 

補足:基準色について

 この表では基準色が決まったもののように与えられていますが、実は基準色は自分の好きなように変更してもらっても問題はありません。一つ注意としては、変更後の基準色が元のReferenceに対して奇置換である場合、偶数手順と奇数手順が入れ替わってしまいややこしくなるため、強いこだわりがない限り偶置換の基準色を使うことをお勧めします。

 

4.CSPの表

Cube Shape Parity (CSP) - Google スプレッドシート

 基本的にはこの表に載っているものを使っていますが、一部違う向きからやったり、やりやすいよう手順を変えているものもあります。ある程度CSPの概念に慣れてくると、どうやってパリティを操作しているか何となく分かってくるので、自分用に手順を変更してもらえればと思います。  

 

5.おわりに 

 簡易ながらCSPについての解説をしました。わからない所などあれば、twitterまで。

また、Cale式なる別のCSPの方法もあるそうですが、そちらについては詳しくないので解説は省略しています。